年間20店舗出店と全国展開を加速するリサイクル古着店「ドンドンダウン オン ウェンズデイ」

長引く不況の影響で消費が落ち込みをみせるなか、年間20店舗出店と全国展開を加速するリサイクル古着店「ドンドンダウン オン ウェンズデイ」。勢いに乗る同店のユニークな販売・買い取り方法、そして今後の展望に迫った。


毎週水曜日。東京都・東大和市にあるリサイクル古着店「ドンドンダウン オン ウェンズデイ(以下ドンドンダウン)」の前には開店前から行列ができる。お客さんの目当ては、「逆オークション」と呼ばれる販売手法により、毎週水曜日に1000円値下がりしたリサイクル古着だ。ドンドンダウンでは、3000円だった商品が水曜日には2000円、さらに次の水曜日には1000円になり、最終的には100円と値下がりし続ける。「古着はすべてが一点モノですから、次の水曜日を待って安く買うか、その前に誰かに取られてしまうかという駆け引きがあるんです。お客さまにそんなドキドキワクワク感を味わっていただきたいと思っています」。そう語るのは全国に26店舗展開するドンドンダウンを運営する株式会社ヘイプの岡本昭史社長。同店は2010年3月までに40店舗に拡大する見込みだという。

逆オークション式の販売方法だけではなく、買い取りの仕組みもユニークだ。お客さまが持ち込んだ洋服は、下着類を除き、穴が開いていても破れていても、何でも買い取るという。「買い取りを断られるかも・・・という不安があると、持って行く気がなえますよね。私たちにとっては重要な商品ですから、お客さまにできるだけ気軽に売りに来ていただきたい。そして、買い取りを目的に来店いただいた方に店内を見てもらい、“古着って安くておしゃれなんだ”と古着に対する認識を改めていただくきっかけにしたいんです」と岡本社長。さらに、毎週月・木曜日は買い取り額を1.5倍(同店基準で1kgあたり500円査定の商品が対象)とし、水曜や週末以外の集客にも成功。月曜や木曜には1日100件以上の買い取りが集まることも珍しくないという。また「水曜日は販売に集中、月・木曜日は買い取りに力を入れる」というように店舗スタッフの働き方にもメリハリが生まれているそうだ。

編集後記
図解でわかる人気のヒミツ
「いまどき」古着屋を開くには?実例&改行情報が満載。

はじめての古着屋オープンbook

4期連続で増収増益を記録している王将フードサービス

景気後退で外食産業が軒並み苦戦する中、4期連続で増収増益を記録している王将フードサービス。現在、「餃子の王将」を全国に540店舗以上展開しており、既存店ベースの売上高は2007年8月から26カ月連続で前年同月比100%超を更新している。その好調の秘密を探った。

王将の店舗運営は、多くの大手外食チェーン店とは対照的だ。例えば、一般に本部の役割とされる新メニュー開発やキャンペーン企画は、店舗ごとに店長が考える。「立地・客層・席数など、一つとして同じ店はありません。どんなメニューや運営方法がベストかは、同じ東京でも池袋と町田では全然違うはず。それが一番わかるのはお客様に毎日接している店長です」。同社の鈴木和久専務は現場に大きな裁量を与え、店の独自性を大切にしている理由をそう語る。また、多くの外食チェーンでは、店ごとの味のバラツキをなくすため、調理済み商品を使う。

それに対して王将は、店舗のオープンキッチンでの手作りにこだわっているのだ。店舗には中華料理店ならではの活気が生まれ、しかも客層に合わせた味や独自メニューを提供できる。それが店の個性になり、リピーターや熱烈なファンを生んでいるのだ。

店舗に裁量を与えると同時に、本部のバックアップ体制も万全。王将には、前日の店舗データが翌朝9時に把握できるシステムがある。社長をはじめ幹部は毎朝、売り上げ・原価率・人件費率・販促費などをチェック。異常値があれば全国に18名いるエリアマネージャーが店舗に駆けつけ、すばやい対応で不採算店舗の発生を未然に防ぐ。といっても、一方的に指令を出すのではなく、解決策はあくまでも店長に委ねるカタチ。現在、横浜の桜木町店で活躍する徳江店長は、以前の店舗で売り上げの落ち込みに悩んでいた。その時、エリアマネージャーから「あれこれやろうとせず、悪い所を一点だけ直せ」とアドバイスされた。

考えた末、着目したのが売り上げの落ちていたチャーハンだった。そして、その原因は味にあった。「いためる時間、調味料の割合などを細かく計測し、どうすればおいしくできるかを追求しました。その結果、どのスタッフでもおいしく作れるようになったんです」。この取り組みを通じて店の一体感が生まれ、気が付くと売り上げも回復していたという。

編集後記
こんなトップの下で働きたい!〈8人のカリスマたち〉
企業の競争力とは、経営者の戦略策定能力、それを実現する実行力、物事を変える決断力、人に任せる器量、戦いを厭わない胆力…といった、トップの能力と資質で決まる。「100年に1度」の大不況に勝つためのヒント。

闘う社長

JR駅内に展開する商業施設ecuteが好調 エキナカビジネス

百貨店をはじめとして苦戦する小売業が多い中、JR駅内に展開する商業施設ecuteが好調。駅利用者に向け新たな選択肢を提供することに成功したようだ。今回は「ecute(エキュート)」を運営するJR東日本ステーションリテイリングのエキナカビジネスに迫る。

2010年3月28日、「ecute東京」が登場したことにより、東京駅の人の流れに大きな変化が起こった。ecuteとは、株式会社JR東日本ステーションリテイリングが駅の改札の中に展開する商業施設のこと。ecute東京は、開業前から多くの話題を呼んでおり、登場を待ちわびる人も多くいた。そのため、客足は絶えず、中には長蛇の列を作る人気ショップもあるほど。「JR東日本グループでは、2001年に、駅を高度利用してもらおうと『ステーションルネッサンス』というテーマを掲げました。これは、駅を乗り換えだけの場所ではなく、人が集い楽しむ場所に変えようという取り組みです。2002年に上野駅の駅舎を活用した商業施設アトレ上野を皮切りに、2005年には改札内に『ecute大宮』、『ecute品川』を開業。

2010年3月にできた『ecute東京』でecuteは5店舗目になります」。そう語るのは、同社取締役で人財育成部を取り仕切る佐野氏。JR東日本グループの駅施設の利用者は、一日当たり1685万人程度だといわれている。そこで、新しいマーケットを開拓しているというわけだ。

現在5店舗あるecuteは、それぞれに異なるコンセプトを持つ。例えば、ecute東京のコンセプトは、「ニッポンRe-STANDARD」だ。東京駅には観光客や出張客が大勢集まるため、土産物売り場などは充実している。一方で、デイリーユーザーの要求を満たせていなかった。そこで、東京駅を人が集う街に変えようというJR東日本「Tokyo Station City」という開発プロジェクトとリンクさせ、日々の暮らしの中で日本の良さを振り返る場をつくったのである。「ecuteのコンセプトは、社員が駅に一昼夜立って、利用客をじっくり観察するなどの調査を行いながらつくります。

例えば、品川よりも東京の方が大きな旅行カバンを持っている人が多いとか、○○の買い物袋を持っている方が多いなど、細かいところに注意を払い、そこに潜んだニーズを探り出します」と佐野氏。そうして決定したコンセプトをもとに、徹底的にこだわって店舗づくりを行うという。話題性の高いショップを呼ぶわけではなく、コンセプトに合ったショップを全国で探すという方法だ。また、毎日使う駅だからこそ、例えば、各ecuteとも商材の入れ替えを2週間に一度は行うなどの目新しさを保つ努力も欠かさない。

編集後記
舞台は大宮、品川、立川…まだまだ続きます。駅を変える新しいエキナカビジネス。

ecute物語

19期連続増収・営業増益と、独自のディスカウント形態で快進撃を続けるドン・キホーテ

19期連続増収・営業増益と、独自のディスカウント形態で快進撃を続けるドン・キホーテ。オリジナリティーにこだわり、ストアコンセプトの一つに「アミューズメント」を掲げる同社のロープライス戦略と、その裏側にある人材戦略に迫る。

2009年12月、全国のドン・キホーテの家電売り場に1万8700円の地デジ対応のテレビが並んだ。外から中身が見えるスケルトンデザインで、異質な存在感を放つこの商品は、同社のプライベートブランド(PB)「情熱価格」の一つ。初回入荷数1万台も、販売開始わずか1週間で完売する店舗が続出し、すぐにカラーバリエーションを増やし追加投入を決めた。圧倒的な低価格と、ほかにないデザイン・カラーバリエーションにこだわったのにはワケがある。「ドン・キホーテにはほかでは手に入らないものがあり、商品にもオリジナリティーがある。そういった理由で当社はお客さまにご愛顧いただいているわけです。

だから『こんなものがあったらいいんだけど』というお客さまのご要望に応え、商品を取りそろえてきました。でもなかには、メーカーに問い合わせをしてもお客さまの求めるものが手に入らないこともある。ならば自分たちでつくろうと2009年の10月に開始したのが『情熱価格』です」そう語るのは広報室室長の尾上氏。これまで5万件以上の商品に対する顧客からの要望が同店に集まってきていた。PB「情熱価格」はまさに満を持してのスタートだったのだ。

「情熱価格」のすべての商品には顧客の声が反映されおり、話題を呼んでいる690円のジーンズや、400円を切る赤ワインなど、衣類・食品・家具・インテリア・カー用品・・・とバリエーションも幅広い。この価格・バリエーション・スピードを実現できる理由を尾上氏はこう語る。「当社が30年間積み上げてきた取引業者様との密接な関係があります。新興国に工場を持つメーカーや独自のルートを持っている問屋などから有益な情報が集まるのです。また、当社にはお客さまとの接点がありますから、求められているものや、その時々のトレンドを肌で感じることができる。

ある意味、お付き合いのある業者様のマーケティング部門として当社が機能しているわけですね。スピードは『権限委譲』のたまもの。例えば1万円を切るレザージャケットの場合、担当者1名が中国に向かい、革の選定や、縫製、デザインを決めました。細かい会社決裁は行わず、『好きなようにやっていいよ』と任せてしまうんです」。こうすることで、意思決定のスピードが鈍らないばかりか、商社を介する必要もなくなるため、大幅な中間コスト圧縮にもつながっているそうだ。

編集後記
新業態創造への闘い
ドン・キホーテは“常識破壊”企業だといわれている。なぜ、バブル崩壊後の逆風のなかで、驚異的な右肩上がりの成長を実現できたのか、その過程と方法論を公開しているのが本書である。

ドン.キホーテの「4次元」ビジネス

バブル時につくられたリゾートなどを立ち直らせる再生ビジネス 星野リゾート

経営困難な状況に陥った地方の老舗温泉旅館や、バブル時につくられたリゾートなどを立ち直らせる再生ビジネスが今注目されている。その代表格にあたるのが星野リゾートだ。今回は再生のプロとして、多くの施設オーナーから運営を委託される同社の再生手法に迫る。

『日本の観光をヤバくする』をキャッチフレーズに、旅館やリゾートの運営を行う星野リゾート。経営不振に陥った施設のオーナーから運営を委託される、いわば再生のプロ集団である。その再生案件の一つが、山梨・八ヶ岳にあるリゾナーレだ。同社が手掛ける以前のリゾナーレは、イタリアの街並みを表現した大人向けのリゾートを意識し、30代〜40代をターゲットにしたつくりになっていた。「施設の再生に取りかかるときは、コンセプトを見直すところから開始します。リゾナーレの場合は、大人向けのリゾートから、『大人のためのファミリーリゾート』に変更。家族だけでなく、子どもだけでも安心して楽しめる自然体験やおひさまキッチンなどの食育系のアクティビティーを取り入れました。そのような滞在のご提案により、大人だけのくつろぎの時間も確保できます」。そう語るのは広報の森下氏。ほかにも、小さなお子さんの面倒を見るベビーコンシェルジュや、ベビーカーなどの貸出サポートも用意。

さらには、山梨の風土を生かし、『ワインリゾート』という新たなテーマを打ち出し、ブドウの苗植えから手掛けるなどリゾナーレからワイン文化を発信している。そうした取り組みの結果、運営を引き継いでから9年目の現在、リゾナーレは順調に集客数を伸ばしているそうだ。

運営事業を行う上で同社では、新しく施設運営に着手する前に徹底したコンセプトワークが行われる。旅館などの比較的小規模な施設の場合は、同社から選出された施設運営リーダーである「総支配人」が一人で現地に赴く。そこでもともと働いていた従業員とともに話し合いを重ね、ふさわしいコンセプトを決定するのだ。「たくさんのお客さんに利用してほしいという気持ちは、元からいる従業員も同じです。だから再生のために人を解雇することはありません。むしろ、その旅館の魅力や地域の魅力については、わたしたちよりも知っているはずですから」。2〜3カ月の時間をかけてコンセプトワークを行い、決定した内容に沿って魅力的な施設づくりを行うのだ。

また、これと並行し「運営の達人」として、顧客満足度・経常利益率・エコロジカルポイントの向上を目指す。具体的には、宿泊客全員に「料理提供のタイミング」「施設の快適性」などの満足度調査を行い、その結果を本部で分析し現場にフィードバックする。また、利益率を高めるためのローコスト・オペレーションの追求も欠かさない。さらには、星野リゾート全施設でリデュース・リサイクルに力を入れており、エコ対策も取り入れる。すでに一部の施設ではエネルギー供給を地熱や水力発電にシフトしているそうだ。

編集後記
なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?
破綻したホテルが再生した。クレームが笑顔に変わった。顧客満足度を高めるために、超名門旅館の総支配人は踊り、新人はブチ切れメールを送った。本書の主役は、星野リゾートが運営する全国のホテルや旅館のスタッフである。顧客満足度を高めるために、何ができるか。その謎を解くために、スタッフが自分で考え、悩み、行動し、周囲のスタッフを巻き込む─。そんなストーリーを取り上げた。

星野リゾートの事件簿

季節のフルーツを使い、その味を最大限に引き出すスイーツ タカノフルーツパーラー

フルーツや野菜など、素材本来の良さが見直されてきている。スイーツ業界では季節のフルーツを使い、その味を最大限に引き出すスイーツを提供しているタカノフルーツパーラーに注目が集まっているようだ。今回は、同社の人気の秘密とユニークな人材育成法に迫る。

JR新宿駅の東口にある新宿高野は120年以上続くフルーツの専門店。価格にして8000円〜3万円程度のマスクメロンや、1万5000円以上するマンゴーなどを取り扱っていることでも有名だ。併設するタカノフルーツパーラーも大正時代から続いている老舗。近年の自然素材ブームもあり、タカノフルーツパーラーには頻繁に行列ができる。顧客のお目当ては、旬のフルーツをふんだんに使ったスイーツだ。「専門店の新宿高野と同様、フルーツパーラーでも全国各地から集めたえりすぐりのフルーツを使ったスイーツを提供しています。例えば、一口にイチゴといっても、『とちおとめ』『あまおう』『紅ほっぺ』などさまざまな品種があり、味も旬の時期も違うのです。

私たちが提供するのは、あくまでフルーツが主役のスイーツ。生クリームもイチゴの味を最大に引き出すものを使うなど、旬の素材の味を生かすためのスイーツ作りを徹底して行っています。それが近年の健康志向や素材そのものの味を楽しむというトレンドにマッチしたのではないでしょうか」。そう語るのは、広報担当の久保さん。最近では、タカノフルーツパーラーのうわさを聞きつけたスイーツ男子も多数来店しているそうだ。

高野グループが提供するフルーツはすべて厳選されたものだ。よって専門店やフルーツパーラー、フルーツバーでの接客では、その魅力を正しく伝える力が求められる。特にギフトを求めて来店する50代、60代の顧客は一般的なフルーツの情報をすでに持っていることが多いため、専門的な情報が求められるのだ。「新人や転職者の中にはフルーツパーラーのスイーツに引かれて入社したため、当社がフルーツ専門店だということをあまり理解していない人もいます。そのため、新宿高野が創立120周年を迎えた2005年からフルーツ塾を開始したんです」。そう語るのは人事総務課の山口氏。

フルーツ塾では、一年間を通じて、毎月旬のフルーツをテーマにした歴史、品種の特徴、健康や栄養素についての講義を行う。その中には、食べ比べやセールストークづくりなど実践的な内容も盛り込まれているという。毎月、季節のフルーツに関することを学ぶ機会があり、ときには生産地に赴いて栽培方法を学んだり、選果場※を見学したりする。「私たちが扱うものに対する深い知識を得、生産者の思いを知ることで、接客にも説得力が増します。また、製造スタッフの場合は、風邪の予防になるなど、フルーツの機能性や効能を知ることで、商品開発に役立ててほしいですね」。そう山口氏は語る。

編集後記
2005年夏に出た『チェンジメーカー』の続編。前回と同様に、日本での認知度は低いが世界的な社会起業家や人道活動家、日本で注目されている企業家・活動家など17人を紹介。あなたに起こる小さな革命、待望の続編!!
自分だけが儲けてもハッピーになってもつまらない。
誰かを、幸福にするという、新しくて楽しい働き方の提案です。
NPO/NGOに興味がある人たちの間で必読書となった前作「チェンジメーカー」と同様に
「社会起業家」という新しい生き方を選んだ20人の横顔を美しい肖像写真とともにお届けします。
世界各国で最先端を行く51の非営利団体の情報も満載!

社会起業家という仕事

「カーシェアリング」が急速に拡大中 ガリバーインターナショナル

若者の車離れが叫ばれるなか、「カーシェアリング」が急速に拡大中だ。そのなかで、中古車買い取り実績ナンバーワンのガリバーインターナショナルが、事業開始1年で急激に会員数を伸ばしている。その舞台裏と同社ならではの勝算を探った。

カーシェアリング、つまり1台の車を複数の人々で共有(シェア)するという、人と車の新しいつきあい方が身近になってきた。自家用車を所有する場合にかかる、保険代や駐車場代などの維持費もシェアするので、非常に経済的。排出ガスの少ないエコ・カーを利用するため環境にもやさしい。週末のショッピングモールへの往復、平日の子どもの送り迎えなど、不定期に短時間だけ車を利用する人に歓迎されている。使い方は簡単。事前にPCや携帯電話で予約を入れ、近所の駐車場(貸し出しステーション)から車を利用できる。月会費と利用時間料金は銀行口座から引き落とされるため、支払いや手続きの手間もない。

ガリバーは、このカーシェアリングサービスを2009年4月から開始。その後、レオパレス21と業務提携し、全国の同社物件に続々と導入している。ガリバーにとっては、貸し出しステーションとなる集合住宅の駐車場が、全国規模で必要だった。一方、レオパレス21は、賃貸価格値下げ競争の折、「家具付き車付き」という新たな付加価値の獲得を狙っていた。こうして、レオパレス物件の賃貸契約の際にカーシェアの説明もしてもらい、いわば自動的に会員数を拡大するしくみが誕生したのだ。すでに10年4月末で首都圏に500台近くを設置。カーシェアリングの事業規模としては国内最大級となる。

ガリバーは、リーマン・ショックを機に、このカーシェアリング事業に着手。不況による車離れの対抗策の一つとして、車を「売る」「買う」事業だけでなく、「シェアする」という新たな選択肢を打ち出した。カーシェアリング事業を取り仕切る河合氏は語る。「経済状態やライフスタイルの変化により、自家用車を持たない選択肢もありうる時代になりました。しかし、車のない生活に慣れてしまうのではなく、車を便利かつ快適に利用してほしい。そうすれば、状況が変わったときに、“買う”という選択肢も生まれるはず」。将来的には、中古車売買の顧客獲得も見込む。事業における勝算は、同社ならではの車の調達力にある。

多くが登録1年未満の車を利用し、排出ガスの少ないエコ・カーに厳選している。車両の入れ替えによる質の維持も低コストで行えるのが強みだ。現在、ガリバーには、不動産業を中心とした提携の話が舞い込んでくるという。「カーシェアリングというサービス自体が、黎明期(れいめいき)にあります。ユーザー自身がまだその価値に気づいていない段階で、私たちが失敗すれば定着しない可能性さえある。未知なサービスをつくっていく責任があります」と河合氏。

編集後記
若者の声をビジネスに変えてきた30歳の社会起業家、山本繁の挑戦記。

やりたいことがないヤツは社会起業家になれ

世界企業の事例を用いた実践的講義で集める圧倒的支持 株式会社グロービス

自己実現や経営スキルを磨くための学習にいそしむ人が増えている。なかでも、経営大学院や法人研修などの教育サービスを提供しているグロービス・グループが、意欲の高いビジネスパーソンに支持されているようだ。今回は同社の教育ビジネスと人材戦略に迫る。

世界企業の事例を用いた実践的講義で集める圧倒的支持
1992年、たった一つの教室、学生二十数名の講義からスタートした株式会社グロービスは、実践的な講義内容と、1995年の出版以来累計120万部を超える『グロービスMBAシリーズ』などにより、受講生数を増やしてきた。2006年にはグロービス経営大学院大学を設立し、現在は国内トップクラスの受講生数と満足度でほかの大学院を圧倒している。

「グロービスの特徴は、GEやP&Gなどといった世界を代表する企業のケース(事例)を用いた独自のMBAプログラムにあります。それは、実務家教員によるインタラクティブな講義により、ビジネスの現場における意思決定を経営者の立場で疑似体験できるよう構成されているのです。また、学んだことをどのように生かしていくかという"志"の醸成に資する科目も盛り込んでいます。さらに経営、政界、文化芸術などそれぞれの業界で一流とされる方々と合宿を行い、一緒に議論をする場も設けているのです」。そう語るのは、同社の人事・総務チームマネージャー高原氏。教育事業としてはこのほか、1科目から選択可能な経営講座を提供し、年間7000人の新規受講生が学ぶグロービス・マネジメント・スクール(GMS)、年間約250社に及ぶ顧客企業の人材育成を通じ、強固な組織運営と持続的成長をサポートしているグロービス・オーガニゼーション・ラーニング(GOL)を展開している。

10回以上の面接もある"こだわりの採用プロセス"
グロービス経営大学院に入学するのは、20代〜30代を中心とするビジネスパーソン。弁護士、公認会計士、中小企業の経営者なども目立つ。法人顧客は日本を代表する企業が多い。経営講座に関しては、通常のMBAにはあまりない、事業経営で最も難しいとされる創造・変革の場面での意思決定力を磨くための内容も含まれている。そして企業研修では、人・組織を通じた変革の実現をサポートしている。

「企業や世の中の変化に応じたカリキュラム開発や提案が常に必要となるため、そうしたことにワクワクとしながら一緒に挑戦してくれる人材を常に求めています。従って採用活動は通年で行っています。入社希望者は月に100人程度、面接の回数は平均5回程度で、多いときは10人以上と会ってもらうこともあります」と高原氏。ちなみに、採用セミナーの時間は2時間半。グロービスの理念やビジョンなどを一方的に紹介するだけでなく、グロービスの経営課題について一緒に考えたり、冒頭に募った質問について議論したりと、インタラクティブな要素が随所に盛り込まれている。入社に至らなかった参加者からも「これからのキャリアを考える上で参考になった」などの前向きな感想が寄せられているそうだ。

編集後記
「『もてなしの心』と言いますが、旅館はお客さんが来てからもてなすんじゃあないですよ。その前に、全体がもてなしの風景になっとらんといかんわけです。そこにお客さんがやってきて、感動するんですよ。口先ばっかり『もてなしの心』で対応しようとしても、お客さんは喜んでくれません」―いま全国でもっとも注目を集める観光地・黒川温泉の再生ノウハウを、「山の宿新明館」館主・後藤哲也が、「温泉教授」こと松田忠徳に語り尽くす。景観造りや宿造り、風呂造り、そして人づくりを、どういうビジョンに基づき、どういう方法で成し遂げたのか。その秘密に迫る。

黒川温泉観光経営講座

経常利益12年連続トップ。熱血指導で支持を集める学習塾業界の雄 佐鳴予備校

近年の少子化の影響で学習塾業界では、生き残りをかけた戦いを続けているところも少なくない。そんな厳しい業界の中で「勝ち組」といわれているのが佐鳴予備校。同校が快進撃を続ける理由とは?

経常利益12年連続トップ。熱血指導で支持を集める学習塾業界の雄
少子化や不況はどこ吹く風。着実に成長を続けているのが佐鳴予備校だ。同校はグループ全体で約300校を展開しており、地域からの圧倒的な支持を得ている。2009年には学習塾業界で経常利益12年連続トップ※を達成。小学生から高校生を対象とした学習指導を行っているが、同校の教育は学力テストや受験対策を目的としているわけではないのだという。

「学力を向上させる、志望校に合格させるというのは、あくまで最低限の責務。さなるでは『学力をもって社会に貢献する人材の育成』を第一に考えています。そして、将来の日本をリードする真のリーダーを育成していきたい。子どもたちには、絶対にあきらめないという強い気持ちや、自分の頭を使って人生を切り開く力をつけてほしいんです。だから、授業では教師が手とり足とり教えるのではなく、難度が高い応用問題にもどんどん挑戦させます。そして、できたら『天才!』『優秀!』『エクセレント!』などの言葉を使い目いっぱい褒める。そうすると子どもはやる気になりますよね。必要に応じて、教師が生徒の気持ちに火をつけるために、20分〜30分間のスピーチをすることもあります」。そう語るのは、人事室課長の稲毛氏。授業が終わった後は、興奮状態で帰宅する子どもも多く、それが保護者からの評価やクチコミにつながっているのだそうだ。

宇宙や地球の裏側を教室内に映し出す「映像体験型学習」
学習塾の中にはアルバイトの教師が教壇に立つところもあるが、同校の教師はすべて正社員である。これは最高の教育を子どもたちや保護者に提供していきたいという誠実さの表れであるという。さなるのプロ教師が繰り広げる授業は塾業界随一という呼び声も高い。さらに子どもたちの知的好奇心を刺激するため、ITを駆使した授業もほかの塾に先駆けて行っている。映像体験型学習を可能にする「See-be(シービー)」がその一つだ。

「例えば、宇宙について教えるときに、黒板に宇宙を描くことは難しいでしょう。必要な資料をすぐに取り出して、それを映像やCGにして映し出せるツールが欲しいと考えたのです。しかし、そういったツールは見つからなかった。そのためSee-beの自社開発に踏み切りました」。そう語るのは人事室の西殿氏。実際に教鞭(べん)を執る教師の立場から、指導を強力に補助するマルチメディア素材を作成・収集して開発されたツール。特に動画素材に関しては、NHKエデュケーションの膨大な資料映像をはじめ博物館、大学などから協力を得て作られている。このほかにも、高校生向け映像学習システム「@Will」などのツールもあるが、なんとこれらを佐鳴予備校以外の学習塾に惜しげもなく提供しているという。その理由は、全国の子どもたちに質の高い教育を提供したいという思い。ツールを販売して利益をあげることよりも、理想の教育を日本全土に広めていくことが大きな目的であるそうだ。


編集後記
開発の段取りから販売戦略まで基本ポイント35

ヒット商品が面白いほど開発できる本

ワクワクさせる仕掛けが盛りだくさんの「ライブ放送戦略」 ジュピターショップチャンネル

テレビ通販市場において、トップを走り続けるジュピターショップチャンネル。24時間365日生放送、自社一貫管理システムというビジネスモデルを確立し、創業以来13年連続増収を続ける同社の戦略を追った。

ワクワクさせる仕掛けが盛りだくさんの「ライブ放送戦略」
24時間365日、いつでもテレビショッピングが楽しめるショップチャンネル。メインターゲットの30代〜60代の女性を、テレビの前でワクワクさせる仕掛けが盛りだくさんだ。カテゴリーごとに1時間の生放送内で、司会役が商品の説明や、使用方法などを細かく紹介していくスタイル。実際に、メーカーの技術者や開発責任者が登場して開発ストーリーを語ったり、注文したばかりの顧客が電話で参加して購入動機を話したりする。

興味深いのは、迷っている人の背中を押す仕掛けだ。画面にはオーダー数がカウント表示される場合もあり、視聴者はどんどん商品が売れていくのを目の当たりにする。途中では、サイズやカラーなどの売り切れや、在庫あと◯◯といった報告が、リアルタイムで入ってくる。そうしたライブ感のある仕掛けが購買意欲を高め、「売り切れ直前で手に入れられた」という達成感を味わえる醍醐味(だいごみ)もあるという。もちろん、手に入れた商品自体の真価に納得できなければ、高いリピーター率は維持できない。商品は、レアものやロングセラーの限定割引セット、国内外の直接買い付けたものなど、ショップチャンネル独自の品ぞろえで差別化されている。それを割安で手に入れるという満足感がファンを引きつけてやまない。そして、テレビを通じて情報を見ることができるため、お茶の間で家族と相談をしたり、あれこれと話したりしながら、家でショッピングを楽しめるというわけだ。現在、コスメ、ファッション、ジュエリー、健康・ダイエット関連などを中心に、家電やグルメ、インテリアと幅広いラインアップがそろう。紹介する週700以上のアイテムのうち、半数が新商品だ。

「自社一貫管理システム」により、日々アップするクオリティー
ジュピターショップチャンネルは、日本初のテレビショッピング専門チャンネルとして1996年に誕生した。強みは、商品の仕入れから番組企画・制作、受注、出荷まで、すべて社内で一貫管理するというビジネスモデルにある。日々、約7万コールに対応する受注体制と、3〜4万点の出荷をコントロールする物流システムが、テレビショッピング業界最大の売り上げを支えてきた。もちろん生放送中、ダイレクトに受注件数や電話の待機件数、在庫数を流していけるのも、自社システムのなせる技だ。

これは、コールセンターのオペレーターやIVR(自動音声応答)、インターネット、携帯電話などマルチチャンネルでの受注を瞬時にこなしながら、リアルタイムに集計し、全社で共有するというもの。じつは、この情報の共有こそ、ショップチャンネルのクオリティーを担っている。例えば、バイヤーなら商品説明のどの部分に反応が良かったかが、次の仕入れのヒントになる。番組制作スタッフは、1時間の放送のなかでどのデモンストレーションが顧客の決断を促したのかがつかめる。このようにそれぞれの仕事の観点から、日々、分析や検証ができるわけだ。そしてなにより、リアルタイムで把握できる売り上げは、顧客からの支持を直接感じることができ、やりがいにつながるという。完売は、喜びもひとしおだ。

編集後記
ターゲット顧客+シーン+便益でヒット商品の「コンセプト」の作り方がわかる。ヒットする商品づくりは段取り7割、実行3割売れる仕組みがプランできる。徹底した企画プロセスの「見える化」によって周囲の関係者を巻き込める。

売り方から考えるヒット商品プラン

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