バブル時につくられたリゾートなどを立ち直らせる再生ビジネス 星野リゾート

経営困難な状況に陥った地方の老舗温泉旅館や、バブル時につくられたリゾートなどを立ち直らせる再生ビジネスが今注目されている。その代表格にあたるのが星野リゾートだ。今回は再生のプロとして、多くの施設オーナーから運営を委託される同社の再生手法に迫る。

『日本の観光をヤバくする』をキャッチフレーズに、旅館やリゾートの運営を行う星野リゾート。経営不振に陥った施設のオーナーから運営を委託される、いわば再生のプロ集団である。その再生案件の一つが、山梨・八ヶ岳にあるリゾナーレだ。同社が手掛ける以前のリゾナーレは、イタリアの街並みを表現した大人向けのリゾートを意識し、30代〜40代をターゲットにしたつくりになっていた。「施設の再生に取りかかるときは、コンセプトを見直すところから開始します。リゾナーレの場合は、大人向けのリゾートから、『大人のためのファミリーリゾート』に変更。家族だけでなく、子どもだけでも安心して楽しめる自然体験やおひさまキッチンなどの食育系のアクティビティーを取り入れました。そのような滞在のご提案により、大人だけのくつろぎの時間も確保できます」。そう語るのは広報の森下氏。ほかにも、小さなお子さんの面倒を見るベビーコンシェルジュや、ベビーカーなどの貸出サポートも用意。

さらには、山梨の風土を生かし、『ワインリゾート』という新たなテーマを打ち出し、ブドウの苗植えから手掛けるなどリゾナーレからワイン文化を発信している。そうした取り組みの結果、運営を引き継いでから9年目の現在、リゾナーレは順調に集客数を伸ばしているそうだ。

運営事業を行う上で同社では、新しく施設運営に着手する前に徹底したコンセプトワークが行われる。旅館などの比較的小規模な施設の場合は、同社から選出された施設運営リーダーである「総支配人」が一人で現地に赴く。そこでもともと働いていた従業員とともに話し合いを重ね、ふさわしいコンセプトを決定するのだ。「たくさんのお客さんに利用してほしいという気持ちは、元からいる従業員も同じです。だから再生のために人を解雇することはありません。むしろ、その旅館の魅力や地域の魅力については、わたしたちよりも知っているはずですから」。2〜3カ月の時間をかけてコンセプトワークを行い、決定した内容に沿って魅力的な施設づくりを行うのだ。

また、これと並行し「運営の達人」として、顧客満足度・経常利益率・エコロジカルポイントの向上を目指す。具体的には、宿泊客全員に「料理提供のタイミング」「施設の快適性」などの満足度調査を行い、その結果を本部で分析し現場にフィードバックする。また、利益率を高めるためのローコスト・オペレーションの追求も欠かさない。さらには、星野リゾート全施設でリデュース・リサイクルに力を入れており、エコ対策も取り入れる。すでに一部の施設ではエネルギー供給を地熱や水力発電にシフトしているそうだ。

編集後記
なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?
破綻したホテルが再生した。クレームが笑顔に変わった。顧客満足度を高めるために、超名門旅館の総支配人は踊り、新人はブチ切れメールを送った。本書の主役は、星野リゾートが運営する全国のホテルや旅館のスタッフである。顧客満足度を高めるために、何ができるか。その謎を解くために、スタッフが自分で考え、悩み、行動し、周囲のスタッフを巻き込む─。そんなストーリーを取り上げた。

星野リゾートの事件簿

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