過疎の町 「宅地無償化」光と影 大パノラマ好評。職は…

「平成の大合併」で加速する地方の過疎化。そんな中、人口減に苦しむ町が「目玉」として考え出したアイデアがある。町有地を転入者にタダで与える宅地の無償提供だ。宮城県北西部にある色麻(しかま)町も12月から、町外に住む子育て世帯が定住を希望する場合、町有地を無償提供する事業の募集を始める。モデルにしたのは北海道標津(しべつ)町の「美郷(みさと)団地」。現地を歩くと、定住化作戦の「光」と「影」が垣間見えた。

10月中旬、美郷団地を訪ねた。東京・羽田から北海道・中標津空港まで1時間40分。レンタカーに乗り換え、延々と続く牧草地帯を20分ほど走ると「ドイツの住宅街をまねた」(町の担当者)という団地が現れた。円形に整備された道路のわきに1区画120坪(約400平方メートル)以上の宅地が広がる。

サンダル履きの男性が、黄色いログハウスの外壁を塗り直していた。陸上自衛官の中田俊行さん(37)。04年に転勤で標津へやってきた。無償提供を知り、07年に夢だったログハウスをローンを組んで約2500万円で建てたという。

「家を建てたい気持ちはずっとあったんですけど、先立つものもなかったし。土地がただじゃなければ、いまも官舎に住んでたでしょうね」

団地からは知床連山の大パノラマが望め、役場や金融機関のある町中心部まで車で5分。町立病院まで徒歩7分。雪も少なく、町では毎年、サービスで全戸に地元産サケ1匹、バター1本、ホタテ15枚が配られる。妻と3人の子がいる中田さんは顔をほころばせた。

「子どもは毎日イクラ丼を食べています。何の不自由もありませんよ」

1965年に8051人だった標津町の人口は、今年11月現在で5782人まで落ち込んでいる。町は06年度から宅地を無償提供する美郷団地(28区画)の入居募集を始め、道内外から15世帯の転入が決定。うち11戸が完成し10世帯が入居を済ませた。高知県などに住む4世帯の入居も内定している。町の当初試算では、全区画が埋まれば税収が増え、造成費のうち補助金を除いた町負担分約6000万円は6年程度で償還できる。金沢瑛(あきら)町長は「事業は100点に近い」と自賛する。

だが、入居者の大半は職の心配がない定年退職後の夫婦や、遠方への転勤がない公務員や会社員の世帯。団地の見学者は約100人に上るが、仕事の問題で断念する人も多いという。

08年に東京から家族3人で移住した仲村敏彰さん(51)は元食品メーカーの量販部長。北海道が好きで定年後の移住を考えていたが、計画を早めた。経験を買われ町の嘱託職員になり、水産加工品などを売り込む仕事を任されている。「車なしでは暮らせませんが、仕事があれば、来たい人はかなりいるはずです」

編集後記
少子高齢化や過疎化などを背景に、多くの地域が衰退しているなか、自治体と住民が知恵を出し合い、個性的なまちづくりによって活性化に成功している地域が存在する。これまでの地域政策の問題点を明らかにし、地場産業の復興、持続可能な地域づくりなど、地域が真に再生するために必要な条件を、豊富な事例を示しながら提言する。

地域再生の条件

どこの地方自治体でも「まちおこし」といっていろいろなことを取り組むのだが、結果としてはどこも似たようなことしか出来ないのでは、期待はずれになるはずです。この本を読めばそれこそ、そこでしかないものというのがどれだけ大事なのかがよくわかるのではないでしょうか。

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